2012年から杖道というあまりメジャーでない武道を習っています。
武道をしているからといって、強くなるわけでなく、むしろふとした時にとっさに対応できない自分が悔しかったりします。
が、やっていてとても良かったと思うのが気合の発声です。
最初はとても辛く、声が出るようになるまでとても苦労しました。
結論を言ってしまうと、ありったけの声を出し続けていると、ある日突然腹から声が出るようになったのですが、
その過程や考え方の変遷、この先自分の考えが180°変わるかもしれないので今の自分の考えを自分用に残しておこうと思いました。
杖道では気合を発します。
インドアで内向的な性格の自分にはそれ自体がとても嫌でした。
しかし、一緒に習っていた先輩(かなり年上)の方がすごいカッコいい気合を出しており、あんなふうになりたいと憧れていました。
別の先輩にも「頭が真っ白になるくらい声を出した方がいい」と言われました。
何より武道なので、自分が生きるか殺されるかの瀬戸際で、恥ずかしいから声が出せないとかあるのだろうか?という疑問がありました。
でも難しい・・・
声を出そうとすると、もう一人の自分が後ろから声を出すなと引っ張るような拒否感と、
恥ずかしいし、バカみたいだなという気持ち、
まわりに良い声、大きい声の人がいる中で頑張って出さなけらばならない劣等感と、
逆に静かなときに出す勇気と、
急に声出してどうした?とか思われないかとか、
様々な負の思いが交錯し、なかなか声を出すことができません。
自転車でブレーキを握りしめながらペダルをこごうとしているような感じです。
そんなある日、稽古中に声を出せと言われ、もうここで出さなければ一生声を出す機会はないと思い、ありったけの勇気をふりしぼってありったけの声を出してみました。
そしたら、悲鳴のような、ギャーーー!!という泣きたくなるくらいみっともない声が出ました。
みんなの見てる前でものすごく恥ずかしかったです。そしてむなしかったです。辛かったです。
しかしそれで少しふっきれたのか、辛いなりに叫び声を出せるようになりました。
初めて自転車に乗って転んだような感じです。
そうして転び続けているうち、叫ぶことに抵抗が薄くなり、辛さがやわらぎました。
ただ格好いい気合とは程遠く、喉から叫ぶような、かわいそうな声を出していました。
それでも武道だからと自分に言い聞かせて必死に声を出し続けていました。
そんなときにまわりから「うるさい」とか「腹から声を出せばいいじゃん」など言われ、この頃が本当に辛かったです。
それでも出し続けていました。自分が殺される間際に、「人にどう思われるか」で声を出すのは間違っている、
「恥ずかしいと思うことが恥ずかしい」と言い聞かせて声を出してました。
そうして2年くらい経った頃、声を出した瞬間に、喉と腹がパカッ、パカッ!と開く感覚と共に腹から声が出ました!
腹式呼吸を初めて理解した瞬間でした。
ずっと転び続けて乗れなかった自転車に乗れた瞬間でした。
その日からというもの、自信を持ってお腹の底から気合が出せるようになりました。
そのときの達成感は人生で一番かもしれません。世界が開けた気がしました。生きる上での考え方も180°変わりました。
目標に向かってがむしゃらに頑張って報われた経験でした。
まとめると、声を出すためには、
〇今出せるMAXの声をだすこと
〇恥ずかしい気持ちを吹っ切る度胸を振り絞ること
〇気心知れた仲間の前で盛大に転ぶ勇気を振り絞ること
です。
声は最初から持ってる才能ではなく、頑張って身に着ける技術だということがわかりました。
ギフトではなくスキルでした。
声が出せず困っている方がいたら、参考になるかわかりませんが、
声の出し方を考えないこと、声は出る出ないではなく、出す出さないであるということだと思います。
自転車は、乗れないけど、乗らないと乗れるようになりません。
声も出さないと出せるようにならないんだと思いました。
まだまだ、技のタイミングと気合のタイミング、本物の迫力など、これからも目指すべき課題やこうなりたい目標がまだまだあるので、これからも精進していきたいと思います。